非エンジニアが1人でSaaSを作って分かった、AIに任せること・人がやること
結論
生成AIを使えば、エンジニアでなくても、事業として成り立つ規模のソフトウェアを1人でつくれます。ただ、AIが速いのは「何をつくるか」が決まっているときだけです。誰のどんな困りごとを解くのかを決めることと、使ってもらうまでの人とのやり取りは、人の仕事として残ります。
- 広告運用のSaaS「AD-BUDDY」を、生成AIを使って1人で開発。データベース48テーブル、247回のコミットの規模で、リリースから2か月で7社が導入した
- AIは、つくるものが決まっているときに驚くほど速い。決まっていないと、いくらでも機能を足し、使われないものができる
- その前に開発した動画制作のサービスは、7か月で単月黒字にしたが、工数とリードの不足で見送った。つくれることと、売れることは別
2か月で7社
AD-BUDDYの導入(リリースから)
247回
1人で重ねた開発のコミット
7か月
動画制作サービスが単月黒字になるまで
私はエンジニアではありません。それでも、生成AIを使って、広告運用のためのSaaS「AD-BUDDY」を1人で開発し、リリースから2か月で7社に導入されました。
その前には、動画制作のサービス「パパッとショート」を1人で開発し、7か月で単月黒字にしてから、一度見送っています。この記事では、この2つの経験から、AIに任せられることと、人にしかできないことを書きます。
1人で、事業として成り立つ規模までつくれた
AD-BUDDYは、広告代理店や事業会社の運用担当者に向けたツールです。Google・Meta・X・TikTokの広告データを名寄せして一つにまとめ、AIのアドバイザーが数字の変化の要因を分析して、次の一手まで提案します。媒体への一括入稿、Googleスライドでのレポートの自動作成、入札や予算の調整を支える機能、代理店向けのマージンや権限の管理、決済まで、すべて1人でつくりました。
2026年8月の時点で、データベースは48のテーブル、開発のコミットは247回。エンジニアではない人間が、B2Bのサービスとして成り立つ規模まで、つくりきれる時代になったということです。
AIが速いのは、つくるものが決まっているとき
つくってみて、いちばん強く感じたのはこれです。AIは、つくるものが決まっているときに、驚くほど速い。
逆に、誰のどんな困りごとを解くのかが曖昧なままだと、AIはいくらでも機能を足してくれます。指示すれば、それらしいものはできる。でも、それが使われるかどうかは、AIには分かりません。
AD-BUDDYで解こうとしたのは、私自身が広告運用の現場で感じてきた困りごとです。
- 媒体ごとに数字がばらばらで、集計が重い
- 数字が動いた理由を説明できず、勘で語ってしまう
- 命名の揺れや転記ミスで、人が変わると再現できない
作業を限りなく削ぎ落とし、本来時間をかけるべきマーケティングの思考に時間を使えるようにする。その目的がはっきりしていたから、AIに何をつくってもらうかを決められました。
AIに任せられるのは「つくる」こと。「何をつくるか」は、人が決める。
つくれることと、売れることは別
その前に開発したパパッとショートは、ショート動画を誰でも安く、早くつくれるサービスでした。公式LINEから情報と動画を送ると、編集者に明確な指示つきで依頼が届き、完成した動画がLINEで納品される半自動の仕組みです。タイミーで飲食店のような小さな事業者の新規獲得を担当した経験から、「事業者向けのサービスをつくれば売れる」と考えたのがきっかけでした。
1か月で試作品、4か月でβ版、6か月で動画編集の会社2社と提携、7か月で単月黒字。プロダクトは私が1人でつくり、販売は営業のパートナーが担いました。
それでも、最終的には一度見送っています。工数がかかったことと、想定よりリードが取れなかったことが理由です。つくれることと、売れることは別。AIでつくる速さが上がるほど、この差ははっきりします。
AIに任せること、人がやること
2つの経験から、私なりの分担をまとめます。
| AIに任せる | 人がやる |
|---|---|
| 決まった仕様のコードを書く | 誰のどんな困りごとを解くかを決める |
| 機能を足す・直す | どの機能を足さないかを決める |
| データの集計、要因の分析 | どの数字を目的にするかを決める |
| 提案の材料を集める | 相手と会い、使ってもらう・組んでもらう |
| ― | 続けるか、やめるかを決める |
右の列は、どれも「決める」仕事と「人と関わる」仕事です。AIの時代に価値が上がるのは、この2つだと考えています。より広い視点は、AIマーケティングで変わること、変わらないことで書いています。
よくある問い
エンジニアでなくても、生成AIでSaaSはつくれますか?
つくれます。私はエンジニアではありませんが、生成AIを使って、データベースの設計から広告媒体との連携、決済まで、事業として成り立つ規模のサービスを1人でつくりました。ただし、何をつくるかを決めるのは人の仕事です。
生成AIで開発するとき、いちばん大事なことは何ですか?
誰のどんな困りごとを解くのかを、先に決めることです。AIは指示があればいくらでも機能を足してくれるので、そこが曖昧だと、機能は多いのに使われないものになります。
つくったサービスが売れないときは、どうすればいいですか?
続けるか、やめるかの基準を先に決めておくことです。私は動画制作のサービスを、単月黒字までは到達したものの、工数とリードの不足から見送りました。仕組みはほかの事業で使えるので、検証して得たものは次に持ち越せます。
