chapter 05 / BtoBと地方

BtoBマーケティングとは:見えにくい成果を「指名検索」で測る

結論

BtoBマーケティングとは、企業の意思決定に向けて、知ってもらうところから商談までの流れをつくることです。最大の難しさは成果が見えにくいことにあり、最終的な成果と相関する、測れる数字を見つけられるかで決まります。

  • BtoBは検討が長く、関わる人も多い。広告を見てから商談になるまでの間が見えないので、上位ファネルへの投資は説明しにくい
  • リードの数と、社名やサービス名での検索(指名検索)の相関を分析で確かめ、指名検索を広告のKPIにした
  • テレビCMと、YouTube・コネクテッドTVの広告の配分を探り、指名検索を1件増やすための費用を6〜70%下げた

6〜70%

指名検索を1件増やすための費用の削減幅

月間数百件

法人向け広告が貢献したリードの規模

BtoBマーケティング(企業向けのマーケティング)を担当している人から、いちばんよく聞く悩みは「成果が見えない」です。広告を出しても、その場で申し込みが来ることは少ない。展示会で名刺を集めても、商談になるのは何か月も先。テレビCMのような大きな投資になると、社内で説明するのはさらに難しくなります。

私の考えでは、BtoBマーケティングとは、企業の意思決定に向けて、知ってもらうところから商談までの流れをつくることです。そして、その成否は、最終的な成果と相関する、測れる数字を見つけられるかで大きく変わります。

この記事では、タイミーで法人向けの広告を担当したときの事例をもとに、その考え方を書きます。

BtoBが難しいのは「間」が見えないから

BtoBの検討には時間がかかり、関わる人も多くなります。現場の担当者が情報を集め、上司が比較し、決裁者が判断する。広告を見た人と、契約を決める人が違うことも珍しくありません。

その結果、広告を見てから商談になるまでの「間」が見えなくなります。とくに、まだ課題を自覚していない人に知ってもらう広告(上位ファネルへの投資)は、直接の成果が見えにくい。成果が見えないので予算が説明できず、説明できないので投資が止まる、ということが起きがちです。

事例:リードと相関する「指名検索」をKPIにした

2024年、タイミーで法人向けの広告のディレクターを担当しました。目的は、スキマバイトの人材を使ってみたい企業からの問い合わせ(リード)を最大化することです。対象は、まだタイミーを検討していない、潜在的な企業でした。

相関を、先に分析で確かめる

最初にやったのは、リードの数と、「タイミー」と社名やサービス名で検索される数(指名検索)の関係を分析することです。分析の結果、指名検索が増えると、リードも増えるという相関があることを確かめました。

この相関が確かめられたことで、上位ファネルの広告を、指名検索という測れる数字で評価できるようになりました。テレビCMを見た人がすぐに申し込まなくても、検索してくれれば、その先のリードにつながっていると説明できます。

指名検索を最も増やすチャネルと配分を探す

KPIを指名検索に置いたうえで、オフラインではテレビCM、オンラインではYouTube広告と、インターネットにつながったテレビ(コネクテッドTV、CTV)での配信を中心に運用しました。どのチャネルに、どれだけの予算を配分すると、指名検索が最も効率よく増えるのかを探り続けました。

結果として、指名検索を1件増やすためにかかる費用を、6〜70%下げることができました。法人向けのリードは、月間数百件規模の獲得に貢献しています。

見えない成果は、見える数字に置き換えてから追う。

オンラインだけでは届かない企業もいる

広告だけで、すべての企業に届くわけではありません。同じタイミーでの仕事で、オンラインのチャネルでは届きにくい地域の中堅企業に向けて、地方新聞社と組むアライアンスを企画しました。

新聞社には、地元企業とのつながりと、地域での信頼、販売店という拠点があります。新聞社から見込みの企業を紹介してもらい、その対価として新聞社に広告を出稿する座組をつくり、中堅規模の企業を十数社、新たに獲得しました。経緯はマーケティング戦略とはで書いています。

BtoBでは、広告で知ってもらうことと、信頼できる相手からの紹介で話を聞いてもらうことの両方が効きます。組む相手の見つけ方は、アライアンスとはで書く予定です。

BtoBでも、決めるのは人

BtoBというと、論理と数字の世界だと思われがちです。たしかに、稟議を通すには数字が要ります。

ただ、資料を読んで比較し、上司に提案するのは、一人ひとりの担当者です。その人が「この会社となら話してみたい」と思えるかどうかは、数字だけでは決まりません。テレビCMで社名を覚えてもらうこと、新聞社のように信頼のある相手から紹介してもらうことが効くのは、どちらも担当者の気持ちに働きかけているからだと思います。数字と気持ちの両方を見る考え方は、よくクリックされる広告が、いい広告とは限らないで書いています。

BtoBマーケティングで、最初に決める3つのこと

最後に、BtoBのマーケティングを始めるときに、私が最初に決めることをまとめます。

決めること中身例
最終的な成果何をもって成果とするかリード、商談、契約
途中で測る数字成果と相関し、毎週・毎月見られる数字指名検索、資料請求、サイトへの再訪
相関の確かめ方途中の数字と成果の関係を、どう検証するか過去の月次データで、両者の推移を並べる

3つ目を飛ばさないことが、いちばん大事です。相関を確かめないまま途中の数字を追うと、数字は増えたのに商談は増えていない、という状態に陥ります。

よくある問い

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは何ですか?

相手が企業であるため、検討期間が長く、決めるまでに関わる人が多いことです。広告を見た人がその場で買うことは少なく、知ってもらってから商談になるまでの間が見えにくくなります。そのため、成果をどう測るかの設計がBtoC以上に大事になります。

BtoBで、テレビCMや動画広告は効果がありますか?

業種や予算によりますが、効果を測る方法さえ決められれば、判断できる投資になります。私が担当した法人向けの広告では、リードと相関する指名検索をKPIにすることで、テレビCMや動画広告の配分を数字で決められるようにしました。

指名検索をKPIにするときに、気をつけることはありますか?

先に、指名検索と最終的な成果(リードや商談)に本当に相関があるかを確かめることです。相関を確かめないまま指名検索を追うと、検索は増えたのに商談は増えていない、ということが起こり得ます。

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