chapter 05 / BtoBと地方

BtoBマーケティング支援の選び方:外注とインハウスの分け方

結論

マーケティングを外注するか、インハウス(社内)で持つかは、全部どちらかに決めるものではありません。市場の定義や予算の判断のように、速さと事業の理解が要る部分は社内に、専門の技術や人手が要る部分は外部に、と仕事ごとに分けるのが現実的です。

  • Gunosyでは広告の8割を社内で運用し、2割は代理店と組んだ。社内に残したのは、判断の速さが成果を分ける部分
  • 外部に任せる部分ほど、目的と評価の数字を社内で決めておく必要がある。決めずに任せると、外部は外部の数字で最適化する
  • 支援会社を選ぶときは、施策の提案より先に、市場の定義と評価の数字を一緒に考えてくれるかを見る

8割

Gunosyで社内運用した広告の割合

「マーケティングは、外部の支援会社に任せるべきか、社内で持つべきか」。よく聞かれる問いです。検索のデータを見ても、「BtoBマーケティング 支援」「インハウス マーケティング」といった言葉は、ここ数か月で検索が増えています。

私の答えは、全部どちらかに決めるのではなく、仕事ごとに分けるです。この記事では、社内で運用する側と、支援する側の両方に立った経験から、その分け方を書きます。

社内で8割、代理店と2割で組んだ

新卒で入ったGunosyでは、アプリの新規ユーザー獲得のための広告を、8割は社内で運用していました。クリエイティブの企画から、制作のディレクション、入稿、毎日の運用の調整まで、チームで一気通貫です。残りの2割は代理店と組み、その折衝も担当して、連携の体制をつくりました。

社内に残していたのは、判断の速さが成果を分ける部分です。LTVを予測するモデルを自分でつくり、生のデータを毎日見て、予算をどこに寄せるかを決めていました。この判断を外部に任せると、報告を待つ時間のぶんだけ遅れます。

判断は社内に、手と技術は外部に。

支援する側に立って見えたこと

一方で、私は支援する側にも立ってきました。共同創業したスマホアプリの会社では、アプリの資金をつくるために広告代理の事業を一人で立ち上げ、初年度で年商1億円規模まで伸ばしています。いまも、広告代理店向けのAI広告運用ツール「AD-BUDDY」を開発し、提供しています。

支援する側に立つと、よく分かることがあります。目的と評価の数字が決まっていない依頼ほど、成果が出にくいということです。決まっていなければ、支援する側は、自分たちが測れる数字(クリック数や獲得単価)で最適化するしかありません。それが事業の目的とずれていても、です。

外注とインハウスの分け方

仕事社内に向いている外部に向いている
市場(ターゲット)の定義◎ 事業の理解と思想が要る一緒に考えてもらうのはよい
目的と評価の数字の設計◎ 社内で決め、持ち続ける―
予算の配分の判断◎ 速さが成果を分ける―
広告の運用・入稿規模が大きいなら社内も可◎ 専門の技術と人手
クリエイティブの制作企画は社内◎ 制作は外部の力を借りる
新しい媒体・手法の検証―◎ 外部の知見を使う

上の3つは、外部に任せても、最後は社内で持つべきものです。下の3つは、外部の専門性と人手を借りたほうが、速く、良いものになります。

外注でうまくいかない3つのパターン

外部に任せて成果が出ないとき、原因は支援会社の力量だけとは限りません。よくあるのは、次の3つです。

パターン起きていること防ぎ方
目的が渡っていない「リードを増やして」とだけ伝え、どんなリードが欲しいかを伝えていない受注につながる相手の条件まで、言葉にして渡す
数字が社内で見られない報告のレポートを待たないと、状況が分からない管理画面やデータを、社内でも直接見られるようにする
判断まで任せている予算の配分や止める判断を、外部に任せきりにしている判断の基準を社内で決め、外部とはその基準で話す

3つとも、外部に任せる範囲の問題ではなく、社内に残すべきものが残っていない問題です。表の「社内に向いている」仕事を手放さなければ、外注はとても強い味方になります。

支援会社を選ぶときに見ること

  1. 最初に「誰に向けて、何を最大化するのか」を確かめてくるか:施策の提案から入る会社より、目的から入る会社
  2. 評価の数字を、事業の目的に近いところに置こうとするか:クリックや獲得単価で終わらず、その先の数字まで見ようとするか
  3. 社内に判断を残す前提で動いてくれるか:数字やノウハウを社内に渡し、社内で判断できる状態をつくってくれるか

3つ目を満たす支援会社と組めると、外注しながら、社内のマーケティングの力も育っていきます。BtoBマーケティング全体の考え方は、BtoBマーケティングとはで書いています。

よくある問い

BtoBマーケティングは、外注とインハウスのどちらがいいですか?

仕事ごとに分けるのが現実的です。市場の定義、予算の配分、評価の数字のように、事業の理解と判断の速さが要る部分は社内に、制作や運用の専門技術、人手が要る部分は外部に任せると、両方の良さを活かせます。

マーケティング支援会社は、どう選べばいいですか?

施策の提案の多さより、目的と評価の数字を一緒に考えてくれるかを見ます。「誰に向けて、何を最大化するのか」を最初に確かめてくる会社は、施策も目的から組み立ててくれます。

インハウス化するとき、最初に何をすればいいですか?

評価の数字を社内で決めて、毎日見られる状態をつくることです。数字を自分たちで見て判断できるようになると、どこを外部に任せ、どこを社内に残すかも判断しやすくなります。

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