KPI設定:見えない成果を、測れる数字に置き換える4つの手順
結論
KPIとは、最終的な目標(KGI)に向かって進んでいるかを、途中で測るための数字です。良いKPIは、最終的な成果との相関が確かめられていて、毎週・毎月動きが見え、関わる人が自分の行動で動かせるものです。
- KPIは、最終目標と相関していることを先に確かめる。相関のない数字を追うと、KPIは達成したのに成果は出ない
- 法人向け広告では、リードと相関する指名検索をKPIにし、指名検索を1件増やす費用を6〜70%下げた
- 組織のKPIは、事業の最大化とメンバーの意欲の両立で選ぶ。KPIと評価制度をそろえ、従業員満足度は10%改善した
6〜70%
指名検索を1件増やす費用の削減(法人向け広告)
10%
KPI・評価制度の見直し後の従業員満足度の改善
KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)とは、最終的な目標(KGI)に向かって進んでいるかを、途中で測るための数字です。
KPIの設定は、マーケティングでも組織づくりでも欠かせませんが、うまくいかないことも多い仕事です。KPIは達成したのに、売上は伸びていない。KPIを追うほど、チームが疲れていく。この記事では、私が担当した3つの事例をもとに、KPIの決め方を書きます。
良いKPIの3つの条件
| 条件 | 中身 | 満たしていないと起きること |
|---|---|---|
| 最終的な成果と相関している | KPIが上がると、KGIも上がることが確かめられている | KPIは達成したのに、成果が出ない |
| 早く動きが見える | 毎週・毎月の変化が分かる | 判断が遅れ、手を打てない |
| 自分の行動で動かせる | 担当する人の工夫で数字が変わる | 追うほど、チームが無力感を持つ |
3つのうち、いちばん飛ばされやすいのが1つ目です。
事例1:見えない広告の成果を、指名検索で測った
2024年、タイミーで法人向けの広告を担当しました。狙ったのは、まだタイミーを検討していない企業です。この広告は、見た企業がすぐに問い合わせてくるわけではないので、成果が見えません。
そこで、リードの数と、社名やサービス名で検索される数(指名検索)の相関を、先に分析で確かめました。指名検索が増えるとリードも増える、と分かってから、指名検索をKPIにしています。テレビCMやYouTube、コネクテッドTVの配分を指名検索で比べ続け、指名検索を1件増やす費用を6〜70%下げました。詳しくはBtoBマーケティングとはで書いています。
事例2:すぐには分からない価値を、予測して測った
Gunosyでアプリの広告を担当していたころ、広告はインストール1件あたりの単価で評価されがちでした。けれど、本当に知りたいのは、その人がどれだけ長く使い、どれだけ収益を生むか(LTV)です。それは、何か月も待たないと分かりません。
そこで、LTVを予測するモデルを自分でつくり、予測したLTVをもとにした広告の費用対効果(ROAS)をKPIにしました。結果、継続率と収益性(IRR)はそれぞれ最大30%改善しています。KGIが遅れてしか分からないときは、予測してKPIにする方法があります。詳しくはLTVとはで書いています。
見えない成果は、相関を確かめた数字か、予測した数字に置き換える。
事例3:組織のKPIは、意欲まで含めて選ぶ
Gunosyでは、事業部長の補佐として、コンテンツの制作と管理を担う部の組織を立て直す仕事も担当しました。
ここで考えたのは、どのKPIを追えば、事業の最大化と、メンバーの意欲の維持を両立できるかです。事業にとって正しいKPIでも、メンバーが自分の工夫で動かせなければ、追うほど疲れていきます。分析をもとに組織の案をつくり、KPIと評価制度・評価の基準を明確にし、メンバーの異動を含めて組織を組み直しました。結果、従業員満足度は10%改善しています。
KPIは、評価制度とそろっていないと機能しません。KPIで褒められることと、評価で褒められることが違うと、人は評価のほうに合わせて動くからです。
KPIを決める4つの手順
- KGIを一つに決める:売上、契約数、継続して使う人の数など、最終的に何を最大化するのか
- KGIと相関する候補を挙げる:早く動きが見える数字を、できるだけ多く挙げる
- 相関を確かめる:過去のデータで、候補の数字とKGIの動きを並べて見る。確かめられないときは、予測モデルをつくる
- 動かせる人と、評価をそろえる:そのKPIを誰が動かすのかを決め、その人の評価の基準と一致させる
3を飛ばさないことが、いちばん大事です。相関を確かめないKPIは、どれだけ達成しても、成果につながっている保証がありません。
よくある問い
KPIとKGIの違いは何ですか?
KGIは最終的な目標(売上、契約数など)、KPIはその目標に向かって進んでいるかを途中で測るための数字です。KGIは結果が出るまで時間がかかるので、早く動きが見えるKPIで日々の判断をします。
KPIは、いくつ設定すればいいですか?
一つのチームが追う中心のKPIは、一つか二つに絞るのがおすすめです。多すぎると、どれを優先すべきか分からなくなり、判断が遅くなります。
KPIを達成しているのに成果が出ないのは、なぜですか?
KPIと最終的な成果の相関が確かめられていないことが多いです。たとえばクリック数をKPIにしても、クリックが増えるほど予約や契約が増えるとは限りません。先に相関を確かめてからKPIにします。
