chapter 06 / 実現する力

泥臭さとスピード:SQLを独学して、毎日意思決定した4年間

結論

マーケターに必要なのは、スマートに仕事をこなす力より、仮説を持って最速で検証し、やり切る泥臭さです。スピードと泥臭さは、AIが進んだ社会でも残る、人の価値だと考えています。

  • スピードとは、仮説を持ち、最速で検証し、次のプランを立てること。仕事に限らず、最も大事な価値だと考えている
  • 新卒のころ、ほぼすべての広告媒体に一人で出稿し、腱鞘炎になるほど運用した。不安で仕方なく、SQLを独学して毎日判断した
  • 1人で開発したサービスは、1か月で試作、4か月でβ版、6か月で提携2社、7か月で単月黒字。そして、見送る判断も速くした

100本以上

独学で書いたSQLのクエリ

7か月

1人で開発したサービスが単月黒字になるまで

スマートに仕事をこなす人への憧れは、私にはありません。

私が大事にしているのは、一歩一歩の積み重ねと、やり切る力です。そして、それを支えるのがスピード。仮説を持ち、最速で検証し、次のプランを立てる。仕事に限らず、それが最も大事だと考えています。

この記事では、私がそう考えるようになった経験を書きます。

腱鞘炎になるほど、広告を回した

新卒で入ったGunosyで、女性向けアプリ「LUCRA」の広告を担当しました。大きな予算を一人で任され、ほぼすべての広告媒体に出稿していました。毎日の入稿と調整で、手が腱鞘炎になるほどでした。

ターゲットのことも、最初はほとんど知りませんでした。コスメにもファッションにも詳しくなかったので、ファッション誌を片っ端から読み、話を聞きに行き、当時流行っていたタピオカを飲み歩いています。スマートなやり方ではありませんが、それ以外に分かる方法がありませんでした。

不安だから、SQLを覚えた

正直に言えば、不安で仕方ありませんでした。大きな予算を動かしているのに、判断の根拠が、分析チームからの報告を待たないと分からない状態でした。

そこで、SQLをゼロから独学しました。生のデータを自分で集め、毎日細かく判断する。書いたクエリは100本を超え、ほぼすべての構文を扱えるようになりました。広告に使うLTVの予測モデルも、自分でつくっています。

不安だから、手を動かす。

口だけで手を動かさない状態が続くと、自分が価値を生み出せているのか不安になる。私の泥臭さとスピードは、その不安から生まれています。結果として、LUCRAとグノシーでは、継続率と収益性(IRR)をそれぞれ最大30%改善しました。

1人で開発したサービスを、7か月で黒字にした

その後も、このやり方は変わっていません。

個人事業として、ショート動画を誰でも安く、早くつくれるサービス「パパッとショート」を開発しました。公式LINEから情報と動画を送ると、編集者に明確な指示つきで依頼が届き、完成した動画がLINEで納品される。リテラシーの高くない中小の事業者でも使える、半自動の仕組みです。

時期到達したこと
1か月試作品
4か月β版
6か月動画編集の会社2社と、共同開発・販売促進で合意
7か月単月で黒字

プロダクトは私が一人でつくり、販売は営業のパートナーが担いました。テストと市場調査をくり返し、ニーズを確かめてから、動画編集の会社に提携の営業をかけています。

見送る判断も、速くする

ただ、このサービスは、最終的に一度見送りました。工数がかかったことと、想定よりリードが取れなかったことが理由です。

スピードは、始める速さだけではありません。やめる判断の速さも含みます。仮説を持って検証した結果、続けるべきでないと分かったら、そこで止める。仕組み自体は、ほかの事業でも十分に使えると考えています。検証して得たものは、次に持ち越せます。

スピードと泥臭さを、仕事で使うための3つの習慣

  1. 動く前に、仮説を一文で書く:何を確かめたいのかが決まっていれば、検証の方法と、次の一手が速く決まる
  2. 数字を、自分で見られるようにする:人に頼んで待つ時間が、判断を遅らせる。必要なら、その場で覚える
  3. 続けるか、やめるかの基準を、先に決める:基準があれば、やめる判断も迷わず速くできる

ロジックで組み立てられる作業は、これからAIが担っていきます。それでも、一歩ずつ積み重ね、人と関わりながら最後までやり切ることは、人にしかできません。泥臭さは、AIの時代にも残る価値だと考えています。AIとの分担は、AIマーケティングで変わること、変わらないことで書いています。

よくある問い

マーケターに必要なスキルは何ですか?

市場を定義する力と、それを実現する力です。後者は、仮説を持って最速で検証し、やり切る泥臭さだと考えています。分析やツールの知識は、その過程で必要になったときに身につけられます。

仕事のスピードを上げるには、どうすればいいですか?

先に仮説を持つことです。何を確かめたいのかが決まっていれば、検証の方法も、次に何をするかも速く決まります。仮説がないまま動くと、速く動いても、学びが残りません。

泥臭さは、AIの時代にも必要ですか?

むしろ価値が上がると考えています。ロジックで組み立てられる作業はAIが担うようになりますが、一歩ずつ積み重ね、人と関わりながら最後までやり切ることは、人にしかできません。

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