マーケティングと経営:新卒で「プロダクトの全意思決定」を担って学んだこと
結論
マーケティングは、広告や販促の部署の仕事ではなく、誰に向けて何をつくり、どう届け、何を最大化するかを決める、経営そのものに近い仕事です。そう捉えると、マーケティングの担当者が見るべき範囲は、プロダクトや組織まで広がります。
- 新卒で配属されたチームの役割は「プロダクトの全ての意思決定」。市場の定義から予算、開発、デザイン、プロモーションまでを一気通貫で担った
- 1つのプロダクトのマーケティングは1〜2人。新卒1年目から経営会議で説明する立場に立ち、悔しさを何度も味わった
- マーケティングを経営の視点で考えると、広告の外にある打ち手(機能、組織、提携)まで選べるようになる
1〜2人
1つのプロダクトのマーケティングを担っていた人数
「マーケティング」と聞いて、広告や販促の部署を思い浮かべる人は多いと思います。私も、学生のころはそうでした。
その捉え方が変わったのは、新卒で配属されたチームの役割を知ったときです。そのチームのミッションは、プロダクトの全ての意思決定でした。この記事では、そこで学んだマーケティングと経営の関係を書きます。
新卒で任された「プロダクトの全ての意思決定」
新卒で入ったGunosyでは、マーケティングチームが、プロダクトに関わるすべての意思決定を担っていました。
- 市場とターゲットの定義
- プロダクトの定義
- 予算の計画
- 開発のディレクション
- デザイン
- プロモーション
これらを、一気通貫で決めるのがマーケティングの仕事です。しかも、1つのプロダクトのマーケティングを担当していたのは1〜2人。新卒の私も、事実上の事業責任者のような立場でした。
マーケティングとは、事業を決める仕事だった。
経営会議で、何度も悔しい思いをした
新卒1年目から、経営会議で説明する立場に立たされました。
その場で、何度も悔しい思いをしています。のちにニュースアプリ「グノシー」の担当に異動すると、予算と売上の桁が変わり、求められる説明と提案の難しさはさらに上がりました。正直に言えば、非常に苦しんだ時期です。
この時期の悔しさと、大きな予算を動かす不安が、SQLを独学して自分でデータを引けるようにしたことや、LTVを予測するモデルを自分でつくったことにつながっています。
経営の視点で考えると、打ち手が広がる
マーケティングを経営の仕事として捉えると、選べる打ち手が広告の外まで広がります。
| 課題 | 広告だけで考えた打ち手 | 経営の視点で選んだ打ち手 |
|---|---|---|
| 継続率と、アプリを開く頻度が下がっている(LUCRA) | 継続しそうな人に配信を寄せる | 毎日参加できる抽選機能を企画し、実装まで主導した(継続率25%改善) |
| 自社の予算では大きなコンテンツをつくれない(LUCRA) | 広告で集客する | 出資元から予算を調達し、再生1,000万回超の動画をつくった |
| 組織のモチベーションと成果が両立しない(Gunosy) | ― | KPIと評価制度を設計し直した(従業員満足度10%改善) |
どれも、広告の担当者の仕事だけを見ていたら、選べなかった打ち手です。マーケティングの担当者が、プロダクトや組織、提携まで含めて考えられる立場にいたことが大きかったと思います。
ブランディングも、経営そのもの
この考え方は、ブランディングにも当てはまります。ブランディングとマーケティングの違いで書いたとおり、ブランディングは、縦割りの組織に通す横串です。すべての接点で何を共通して伝えるかを決めることは、会社が外とどう関わるかを決めることであり、中身は経営管理や経営企画に近い仕事です。
マーケティングを、経営の視点で考えるために
- 広告の数字の外を見る:売上と利益、継続率、組織の体制まで、事業全体の数字を見る
- 打ち手を広告に限らない:機能、価格、提携、組織。課題を解くために一番効くものを選ぶ
- 説明できる根拠を、自分で持つ:経営の判断に耐える数字を、自分で引けるようにする
- 経営者と同じ言葉で話す:施策の数字だけでなく、それが売上・利益・組織にどう効くのかまでを一続きで説明する
マーケティングの定義を、マーケティングとはで「市場を定義し、目的を最大化する行為」と書きました。その目的が事業そのものである以上、マーケティングは経営と切り離せない仕事だと考えています。
よくある問い
マーケティングと経営の関係は何ですか?
マーケティングが「誰に向けて、何をつくり、どう届け、何を最大化するか」を決める仕事だとすれば、それは経営の判断と大きく重なります。マーケティングは、経営の判断を市場に向けて具体化する仕事だと考えています。
マーケティング担当者が、経営の視点を持つにはどうすればいいですか?
広告の数字だけでなく、売上と利益、プロダクトの継続率、組織の体制まで、事業全体の数字を見ることから始めます。そのうえで、広告以外の打ち手も選択肢に入れて考えます。
マーケティングは、どの部署が担うべきですか?
部署の名前より、誰が「誰に向けて何をするか」を決めているかが大事です。その判断が経営から切り離された部署にあると、マーケティングは広告の運用だけになりがちです。
