巻き込み力とは:人に力を借りれば、アウトプットは何倍にもなる
結論
巻き込み力とは、自分一人ではできないことを、周りの人や会社の力を借りて実現する力です。その源は話術ではなく、自分一人の限界を知っていることと、協力してくれる人を心から尊重できることにあります。
- 筋のいい戦略を立てる力と、それを泥臭く実現する力は別物。後者はスキルより、マインドセットの問題
- 自分一人の力には限界がある。そう知っているから、人に力を借りればアウトプットは何倍にもなると考えられる
- 協力者を疑わず、心から尊重すること。打算ではなく本当にそう思っていることが、人を動かす
100人超
リブランディングで調整した社内外の関係者
100以上
ラジオ局を回って集めた番組
マーケティングの仕事には、2つの力が要ると考えています。一つは、筋のいい道筋を立てる力。市場を定義し、戦略を描く力です。もう一つは、その道筋を、どんな困難があっても泥臭く、人を巻き込んで実現する力です。
この記事では、後者の「巻き込み力」について書きます。私は、これをスキルというより、マインドセットの問題だと捉えています。
スキルなら誰でもできる。止まるのは心のほう
人を巻き込むための話し方や、提案の組み立て方は、学べばある程度は身につきます。けれど、実際に多くの人が止まってしまうのは、スキルの手前です。
「この人に頼んでも無理だろう」と自分で制限をかけてしまう。断られて、くじけてしまう。巻き込み力の差は、そこで止まるか、止まらないかで生まれていると思います。
自分一人の限界を、知っている
私が人を巻き込めているとすれば、その一つ目の理由は、自分一人の力の限界を、昔から客観的に理解していることです。
多くの人は、自分の力や存在を誇示したがります。でも私は、人に力を借りれば、協力すれば、アウトプットは何倍にもなると考えています。一人でできることには限界がある。だからこそ、迷わず人に頼れます。
一人の限界を知っている人ほど、遠くまで行ける。
協力してくれる人を、心から尊重する
二つ目の理由は、協力してくれる人を、心の底から尊重していることです。
これは、意外と難しいことです。人は、ルサンチマンやエゴから、相手を疑ったり、自分の方が優れていると考えてしまったりします。そうした気持ちは、どれだけ言葉を選んでも相手に伝わります。
飲み会やミーティングで、「野崎と一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるように振る舞う。言葉にすると拙いですが、私がやってきたのはそれです。そして、それが打算ではなく、心の底からそう思っているから、実現できているのだと思います。
巻き込んで実現してきたこと
| 時期 | 巻き込んだ相手 | 実現したこと |
|---|---|---|
| Gunosy | 出資元のKDDI | 予算を得て、アプリ内再生1,000万回超の動画コンテンツを制作 |
| Gunosy | ラジオ局各社 | 自分で回って番組の提供を受け、100以上の番組がある「グノシーラジオ」を立ち上げ |
| Gunosy | 社内外100人超の関係者 | 30人ほどのチームで、グノシーのリブランディングを決算日の期限どおりにリリース |
| タイミー | 地方新聞社・テレビ局などローカルメディア | 単独では入れなかった地域の企業を開拓。新聞社との座組で中堅企業を十数社獲得 |
どれも、私一人ではできなかったことです。そして、どれも紹介を待つのではなく、自分から相手のところへ行き、つながりをつくるところから始まっています。個々の事例は、アライアンスとはとリブランディングの進め方で詳しく書いています。
巻き込み力を育てるために、明日からできること
巻き込み力はマインドセットの問題だと書きましたが、行動に落とすと、次の3つになります。
- 自分一人でやろうとしていることを書き出す:その中に、誰かに頼めばもっと大きくなるものがないかを見る
- 頼む相手の得を、先に考える:自分が助かることではなく、相手にとって何が良いのかを一文で言えるようにする
- 協力してくれた人に、成果を返す:うまくいったら、その人のおかげだったことを、本人にも周りにも伝える
3つ目を続けていると、次に頼むときに話を聞いてもらいやすくなります。巻き込み力は、一度の交渉の上手さではなく、協力してもらった経験の積み重ねでできていくものだと思います。
焦燥感という、もう一つのエンジン
最後に、もう一つだけ書いておきます。私が手を止めずにいられるのは、ある種の焦燥感があるからです。
東京で生まれ育ち、裕福ではなかったけれど、苦労せずに大学まで行かせてもらえました。それは、とても稀な経験です。世界には、そうではない人が数えきれないほどいる。その中で生かされた意味を、自分が主体となって価値を生み出すことで証明したい。だから、口だけで手を動かさない状態が続くと、不安で仕方なくなります。
人を巻き込むのは、その焦燥感を、一人では届かないところまで届けるための方法でもあります。誰かが信じ抜くものを、信じて、実現する。その役割については、No.2という役割で書く予定です。
よくある問い
巻き込み力とは何ですか?
自分一人ではできないことを、周りの人や会社の力を借りて実現する力です。社内の他部署を動かすことから、社外の会社と組んで新しいことを始めることまで含みます。
巻き込み力は、どうすれば身につきますか?
まず、自分一人でできることの限界を認めることです。そのうえで、協力してくれる人を疑わず、心から尊重する。テクニックより先に、この考え方を持つことが近道だと考えています。
巻き込み力がある人と、ない人の違いは何ですか?
自分の力を誇示したいか、人の力を借りたいかの違いだと思います。自分の方が優れていると考えてしまうと、相手への尊重が伝わらず、人は動いてくれません。
