chapter 04 / ブランドとコンセプト

リブランディングの進め方:社内外100人超を動かした6か月

結論

リブランディングとは、ブランドとして伝わるものを定義し直し、それをすべての接点で入れ替えることです。ロゴや画面を変えることではなく、変える理由と変えないものを決め、関わる人を巻き込みきれるかで成否が決まります。

  • グノシーのリブランディングでは、アイコン・画面、記事を選ぶ仕組み、運用体制、広告の商品までを、30人ほどのチームで6か月かけて刷新した
  • 社内外で100人を超える関係者を調整し、決算発表という動かせない期限までにリリースした。継続率は3%改善し、売上は維持
  • 進め方は、理由を言葉にする、変えないものを決める、ユーザーで確かめる、数字で影響を見積もる、接点をそろえて出す、の5段階

100人超

調整した社内外の関係者

6か月

プロジェクトの期間

3%

リブランディング後の継続率の改善

リブランディングと聞くと、ロゴや色を新しくすることを思い浮かべる人が多いと思います。けれど、ロゴが変わっても、伝わるものが変わらなければ、それはリブランディングではありません。

リブランディングとは、ブランドとして伝わるものを定義し直し、それをすべての接点で入れ替えることです。

この記事では、私がGunosyでプロジェクトリーダーを務めた、ニュースアプリ「グノシー」のリブランディングをもとに、進め方を書きます。ブランドの定義そのものは、ブランディングとはで書いています。

グノシーのリブランディングで変えたもの

2022年の秋から約6か月、グノシーのユーザー体験を大きく刷新するプロジェクトを率いました。変えたものは、見た目だけではありません。

変えたもの中身
アイコン・画面アプリのアイコンと、画面のデザイン
記事を選ぶ仕組みどの記事をどう届けるかのロジックと、その品質の担保
運用の体制コンテンツを運用するチームの体制
広告の商品アプリ内の広告商品の変更

関わったのは、経営、経営企画、広報、開発、営業、デザイナーなど30人ほどのチームです。社外も含めると、調整した関係者は100人を超えました。しかも、リリースの期限は決算発表の日。動かせない期限でした。

結果として、継続率は3%改善し、売上は維持し、期限どおりにリリースして、プレスリリースまで出すことができました。

進め方の5つの段階

実際に進めたこと(3〜5)に、どのリブランディングでも最初に押さえるべきこと(1〜2)を加えると、次の5つの段階になります。

1. 変える理由を言葉にする

リブランディングは、関わる全員に負担をかけます。だから最初に、なぜ今変えるのかを、誰が聞いても分かる言葉にしておく必要があります。ここが曖昧だと、途中で必ず「本当に変える必要があるのか」という議論に戻ります。

2. 変えないものを決める

変えるものと同じくらい大事なのが、変えないものです。すべてを変えると、今のユーザーが何を手がかりに使い続ければいいか分からなくなります。グノシーでも、継続率の改善と収益性の維持を両立させることが前提でした。

3. ユーザーで確かめる

画面のデザインは、社内の好みでは決めず、ユーザーテストを通して確定しました。リブランディングは、作り手が新しくしたいものと、使う人が受け入れられるものがずれやすい。そのずれを、出す前に見つけるためです。

4. 数字で影響を見積もる

広告の商品を変えると、売上に直接影響します。ユーザーの行動を分析し、広告の商品を変えたあとの売上をシミュレーションしてから進めました。ブランドの判断でも、数字で影響を見積もれる部分は必ず見積もります。

5. 接点をそろえて、一斉に出す

アプリの中、広告、プレスリリース。接点ごとに違うタイミングや違う言葉で出ると、新しいブランドは一つの像として伝わりません。広報とも調整し、同じ期限に向けてそろえて出しました。

リブランディングは、デザインの仕事である前に、調整の仕事だった。

社名から変えるリブランディング

規模は違いますが、いまブランド責任者を務めているBridgeOneも、リブランディングから関わった会社です。

もともとは「ビーバーズ」という社名で、同じ名前の転職サイトで成長してきました。事業をさらに広げるにあたり、代表が掲げる理想の姿を言葉にするところから始め、社名を「BridgeOne」と名づけ、コーポレートサイトや採用ページのデザインまでを手がけました。広報チームも立ち上げ、採用サイトから社内向けの発信まで、同じメッセージが届くようにしています。

グノシーが「すでに多くの人が使っているアプリの体験を入れ替える」リブランディングだったとすれば、BridgeOneは「会社が何者かを定義し直す」リブランディングです。それでも、理由を言葉にし、接点をそろえて出すという進め方は同じでした。

100人を動かすために、いちばん効いたこと

最後に、100人を超える関係者と進めるうえで、私が大事にしていたことを書いておきます。

私は昔から、自分一人の力には限界があると考えています。人に力を借りれば、アウトプットは何倍にもなる。だから、協力してくれる人には心からの敬意を持ち、疑ってかからない。打算ではなく、本当にそう思っているからこそ、立場の違う人たちと同じ期限に向かえたのだと思います。

人を巻き込む考え方は、巻き込み力とはで書いています。

よくある問い

リブランディングとは何ですか?

ブランドとして伝わるものを定義し直し、それをすべての接点で入れ替えることです。ロゴやデザインの変更はその一部で、何を伝えるかを決め直すところから始まります。

リブランディングで、いちばん難しいことは何ですか?

関わる人の多さです。デザイン、開発、広報、営業、経営と、すべての部門に影響するので、それぞれの立場で納得してもらい、同じ期限に向かって動いてもらう調整がいちばん大変でした。

リブランディングで、既存のユーザーが離れてしまわないか心配です。

変えないものを先に決めることと、変える前にユーザーで確かめることが大事です。グノシーでは、ユーザーテストを通して画面のデザインを決め、継続率を改善しながら売上を維持できました。

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