採用ブランディング:サイトより先に、面接と現場の言葉をそろえる
結論
採用ブランディングとは、候補者が会社に触れるすべての接点で、同じ会社の姿が伝わるようにすることです。採用サイトをつくることはその一部にすぎず、面談・面接や、働いている人の言葉まで同じになって、はじめてブランドになります。
- 候補者は、求人広告、採用サイト、SNS、面談・面接、社員の話、メディアの記事と、いくつもの接点で会社を見ている
- 「なぞなぞ採用」は、来てほしい学生の像を分解し、知ってもらうところから選考までを一つの言葉で通した。その企画は全国のテレビCMになった
- 社名の変更から関わった会社では、コーポレートサイト、採用ページ、社内向けの発信まで、同じメッセージが届くように設計した
3年以上
「なぞなぞ採用」が全国のテレビCMとして放映された期間
採用ブランディングという言葉から、おしゃれな採用サイトや、印象的な採用動画を思い浮かべる人は多いと思います。けれど、候補者が会社を判断するのは、サイトだけではありません。
採用ブランディングとは、候補者が会社に触れるすべての接点で、同じ会社の姿が伝わるようにすることです。この記事では、私が関わった2つの事例をもとに、その進め方を書きます。ブランドの考え方そのものは、ブランディングとはで書いています。
候補者は、いくつもの接点で会社を見ている
| 接点 | 候補者が見ているもの |
|---|---|
| 求人広告・採用サイト | 会社が言葉で語っている姿 |
| SNS・メディアの記事 | 第三者から見た会社の姿 |
| 面談・面接 | 面接官が話す内容と、その人の雰囲気 |
| 社員の話・口コミ | 実際に働いている人が感じている姿 |
このうち、候補者の判断に最も強く効くのは、面談・面接や社員の話です。採用サイトで「挑戦できる会社」と書いていても、面接官が「安定していて働きやすい」と話せば、候補者に残るのは面接官の言葉のほうです。
採用サイトの言葉は、面接で同じことを言われて、はじめて信じてもらえる。
事例1:来てほしい人を分解し、一つの言葉で通した
2018年、大学在学中に、村田製作所の新卒採用をテーマにしたビジネスコンテストに参加しました。村田製作所は企業向けの事業が中心で学生からの知名度が高くなく、本社が関西にあるため、とくに関東での採用が課題でした。
最初にやったのは、どんな学生に来てほしいのかの分解です。知的好奇心が強い、積極的に動ける、未知の領域を楽しんで開拓できる、会社のカルチャーに合う。この人たちに最も刺さる切り口として、「なぞなぞ(クイズ・雑学)」を選びました。
選考になぞなぞを取り入れるだけでなく、「なぞなぞで採用する、ちょっと変わった会社がある」ということ自体を広く知ってもらう。知ってもらうところから選考までを、一つの言葉で通しました。企画は満場一致で優勝し、広告会社への制作要件となって、全国のテレビCMとして3年以上放映されています。
これは、採用マーケティング(来てほしい人を定義し、届ける)と、採用ブランディング(すべての接点で同じ姿を伝える)を、一つの企画で同時にやった例だと考えています。コンセプトの立て方は、コンセプトの作り方で書いています。
事例2:社名から、採用の面接までをそろえた
いまブランド責任者を務めているBridgeOneは、もともと「ビーバーズ」という社名で、同じ名前の転職サイトで成長してきた会社です。さらに事業を広げるために、リブランディングに取り組みました。
最初に、代表が掲げる理想の姿を言葉にしました。そのうえで、社名を「BridgeOne」と名づけ、コーポレートサイトと採用ページのデザインまでを手がけています。広報チームも立ち上げ、採用サイトから社内向けの発信まで、同じメッセージが届くように設計しました。
ブランドとしてそろえる対象には、サイトだけでなく、候補者との面談・面接、営業担当者や営業資料、メディアでの出方まで含めています。候補者が最も強く会社を感じるのは、人と話す場面だからです。
採用ブランディングの進め方
- 目指す会社の姿を言葉にする:代表や経営陣が信じているものを、誰が読んでも分かる言葉にする
- 来てほしい人を分解する:性格や価値観を、行動に表れる言葉で並べる
- 接点を洗い出す:求人、サイト、SNS、面談・面接、社員、メディア。候補者が会社に触れるすべての場所
- 接点ごとに、同じ核をそろえる:表現は接点ごとに変えてよい。共通して伝える核を、必ず持たせる
- 実際に何が伝わったかを確かめる:内定者や候補者に、会社がどう見えたかを聞く
5を続けると、会社が伝えたつもりの姿と、実際に伝わった姿のずれが見えてきます。そのずれを埋め続けることが、採用ブランディングの本当の仕事だと考えています。
よくある問い
採用ブランディングとは何ですか?
候補者が会社に触れるすべての接点で、同じ会社の姿が伝わるようにすることです。採用サイトや求人広告だけでなく、面談・面接、社員の話、メディアでの出方まで含みます。
採用ブランディングと採用マーケティングの違いは何ですか?
採用マーケティングは、どんな人に来てほしいかを定義し、その人に届けて応募や採用を最大化する活動です。採用ブランディングは、その活動のすべての接点で、共通して伝わる会社の姿をつくる活動です。前者が縦、後者が横の関係にあります。
採用ブランディングは、何から始めればいいですか?
代表や経営陣が目指している会社の姿を言葉にすることからです。その言葉ができてから、採用サイト、求人、面接での説明をそろえていきます。サイトのデザインから始めると、中身がない見た目だけのものになりがちです。
