chapter 01 / 市場を定義する

ターゲットとペルソナの違い:ペルソナを作っても決められない理由

結論

ターゲットは、市場を切り出して残った人の集まりです。ペルソナは、その中の一人を具体的に描いたもの。ペルソナが役に立つのは、ターゲットの切り方が正しく、その人を実際に見にいったうえで描いたときだけです。

  • ターゲットは「どこで切ったか」、ペルソナは「その人はどんな人か」を表す。ターゲットが先、ペルソナはあと
  • 会議室で想像だけで描いたペルソナは、細かいのに判断に使えない。名前や趣味より、行動と判断の理由を書く
  • 意思決定に効くのは、切り方・行動・判断の理由がそろったターゲット。ペルソナはそれを共有するための道具

「ターゲットとペルソナの違いは何ですか」と聞かれることがあります。どちらも「誰に向けるか」を表す言葉なので、混同されやすいのも無理はありません。

私の整理はシンプルで、ターゲットは市場を切り出して残った人の集まり、ペルソナはその中の一人を具体的に描いたものです。この記事では、2つの違いと、ペルソナを作っても意思決定に使えない原因を書きます。

ターゲットは「切り方」、ペルソナは「その人の姿」

ターゲットペルソナ
表すもの市場をどう切ったか切り出した中の一人の姿
例都内で働く、20代の女性渋谷の会社で働く26歳。通勤中にInstagramを見る……
決める順番先あと
役割誰に向けるかを決めるチームで同じ人を思い浮かべる

順番が大事です。ターゲットを決めないままペルソナを作ると、どこで切ったのか分からない「それらしい人」ができあがります。マーケティング戦略とはで書いたとおり、戦略の差はほぼ切り方で決まるので、切り方を飛ばしたペルソナは、どれだけ細かくても戦略になりません。

ペルソナを作っても決められない2つの理由

1. 想像だけで描いている

会議室で、資料とイメージだけを頼りにペルソナを描くと、名前、年齢、趣味、休日の過ごし方といった項目は埋まります。でも、それが本当の人の姿なのかは誰にも分かりません。

新卒で女性向けアプリ「LUCRA」を担当したとき、私はターゲットのことをほとんど知りませんでした。ファッション誌を読み、話を聞きに行き、流行っていたタピオカを飲み歩いて、ようやく判断に自信が持てるようになりました。見にいく前の私がペルソナを描いていたら、細かいけれど的外れなものになっていたと思います。

2. 行動と判断の理由が書かれていない

ペルソナの項目は、プロフィールに寄りがちです。けれど、広告や商品を決めるときに必要なのは、その人がどこで何を見て、何を基準に選んでいるかです。

名前より、選ぶ理由を書く。

「26歳、趣味はカフェ巡り」と書かれていても、広告の判断には使えません。「服は友達がInstagramで紹介していたお店で買うことが多い」と書かれていれば、どこで何を伝えるべきかが見えてきます。

判断に使えないペルソナと、使えるペルソナ

同じ人を描いても、書き方で使えるかどうかが変わります。

項目判断に使えない書き方判断に使える書き方
情報の集め方雑誌はあまり読まない服やコスメの情報は、友達や好きな人のInstagramで知る
買い方ネットで買うことが多い気になったものは、店で実物を見てから買う
選ぶ基準コスパを重視する友達に「どこの?」と聞かれたときに答えられるものを選ぶ

右の列は、どこで何を伝えるべきかに直接つながります。左の列は、どれだけ増やしても判断の材料になりません。

ペルソナを一度つくったら終わりではない、ということも大事です。広告や商品の結果を見て「この人は、思っていたのと違う理由で選んでいた」と分かったら、ペルソナも書き直します。ペルソナは、人を見続けた結果を共有するための、更新され続けるメモだと考えています。

意思決定に効くターゲットの書き方

私がターゲットを書くときは、次の3つを必ずそろえます。

  1. 切り方:どの角度で切り出した人なのか(例:「流行りものを、友達との話題として楽しむ人」)
  2. 行動:どこで何を見て、どこで何を買っているか
  3. 判断の理由:何を基準に、何と比べて選んでいるか

この3つがあれば、ペルソナはそれを共有するための「顔」として機能します。逆に、この3つがないペルソナは、作るのをいったん止めて、人を見にいったほうが早いです。人の見方は、インサイトとはで書いています。

よくある問い

ターゲットとペルソナの違いは何ですか?

ターゲットは市場を切り出して残った人の集まり、ペルソナはその中の一人を具体的な人物として描いたものです。ターゲットで「誰に向けるか」を決め、ペルソナでその人の姿をチームで共有します。

ペルソナは作ったほうがいいですか?

チームで同じ人を思い浮かべるためには役に立ちます。ただし、ターゲットの切り方が決まっていない段階で作ると、細かいだけで判断に使えないものになりがちです。

意思決定に使えるペルソナには、何を書けばいいですか?

名前や年齢、趣味よりも、どこで何を見て、何を基準に選んでいるかという行動と判断の理由を書きます。それがあると、広告や商品の判断に使えます。

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