ターゲットとペルソナの違い:ペルソナを作っても決められない理由
結論
ターゲットは、市場を切り出して残った人の集まりです。ペルソナは、その中の一人を具体的に描いたもの。ペルソナが役に立つのは、ターゲットの切り方が正しく、その人を実際に見にいったうえで描いたときだけです。
- ターゲットは「どこで切ったか」、ペルソナは「その人はどんな人か」を表す。ターゲットが先、ペルソナはあと
- 会議室で想像だけで描いたペルソナは、細かいのに判断に使えない。名前や趣味より、行動と判断の理由を書く
- 意思決定に効くのは、切り方・行動・判断の理由がそろったターゲット。ペルソナはそれを共有するための道具
「ターゲットとペルソナの違いは何ですか」と聞かれることがあります。どちらも「誰に向けるか」を表す言葉なので、混同されやすいのも無理はありません。
私の整理はシンプルで、ターゲットは市場を切り出して残った人の集まり、ペルソナはその中の一人を具体的に描いたものです。この記事では、2つの違いと、ペルソナを作っても意思決定に使えない原因を書きます。
ターゲットは「切り方」、ペルソナは「その人の姿」
| ターゲット | ペルソナ | |
|---|---|---|
| 表すもの | 市場をどう切ったか | 切り出した中の一人の姿 |
| 例 | 都内で働く、20代の女性 | 渋谷の会社で働く26歳。通勤中にInstagramを見る…… |
| 決める順番 | 先 | あと |
| 役割 | 誰に向けるかを決める | チームで同じ人を思い浮かべる |
順番が大事です。ターゲットを決めないままペルソナを作ると、どこで切ったのか分からない「それらしい人」ができあがります。マーケティング戦略とはで書いたとおり、戦略の差はほぼ切り方で決まるので、切り方を飛ばしたペルソナは、どれだけ細かくても戦略になりません。
ペルソナを作っても決められない2つの理由
1. 想像だけで描いている
会議室で、資料とイメージだけを頼りにペルソナを描くと、名前、年齢、趣味、休日の過ごし方といった項目は埋まります。でも、それが本当の人の姿なのかは誰にも分かりません。
新卒で女性向けアプリ「LUCRA」を担当したとき、私はターゲットのことをほとんど知りませんでした。ファッション誌を読み、話を聞きに行き、流行っていたタピオカを飲み歩いて、ようやく判断に自信が持てるようになりました。見にいく前の私がペルソナを描いていたら、細かいけれど的外れなものになっていたと思います。
2. 行動と判断の理由が書かれていない
ペルソナの項目は、プロフィールに寄りがちです。けれど、広告や商品を決めるときに必要なのは、その人がどこで何を見て、何を基準に選んでいるかです。
名前より、選ぶ理由を書く。
「26歳、趣味はカフェ巡り」と書かれていても、広告の判断には使えません。「服は友達がInstagramで紹介していたお店で買うことが多い」と書かれていれば、どこで何を伝えるべきかが見えてきます。
判断に使えないペルソナと、使えるペルソナ
同じ人を描いても、書き方で使えるかどうかが変わります。
| 項目 | 判断に使えない書き方 | 判断に使える書き方 |
|---|---|---|
| 情報の集め方 | 雑誌はあまり読まない | 服やコスメの情報は、友達や好きな人のInstagramで知る |
| 買い方 | ネットで買うことが多い | 気になったものは、店で実物を見てから買う |
| 選ぶ基準 | コスパを重視する | 友達に「どこの?」と聞かれたときに答えられるものを選ぶ |
右の列は、どこで何を伝えるべきかに直接つながります。左の列は、どれだけ増やしても判断の材料になりません。
ペルソナを一度つくったら終わりではない、ということも大事です。広告や商品の結果を見て「この人は、思っていたのと違う理由で選んでいた」と分かったら、ペルソナも書き直します。ペルソナは、人を見続けた結果を共有するための、更新され続けるメモだと考えています。
意思決定に効くターゲットの書き方
私がターゲットを書くときは、次の3つを必ずそろえます。
- 切り方:どの角度で切り出した人なのか(例:「流行りものを、友達との話題として楽しむ人」)
- 行動:どこで何を見て、どこで何を買っているか
- 判断の理由:何を基準に、何と比べて選んでいるか
この3つがあれば、ペルソナはそれを共有するための「顔」として機能します。逆に、この3つがないペルソナは、作るのをいったん止めて、人を見にいったほうが早いです。人の見方は、インサイトとはで書いています。
よくある問い
ターゲットとペルソナの違いは何ですか?
ターゲットは市場を切り出して残った人の集まり、ペルソナはその中の一人を具体的な人物として描いたものです。ターゲットで「誰に向けるか」を決め、ペルソナでその人の姿をチームで共有します。
ペルソナは作ったほうがいいですか?
チームで同じ人を思い浮かべるためには役に立ちます。ただし、ターゲットの切り方が決まっていない段階で作ると、細かいだけで判断に使えないものになりがちです。
意思決定に使えるペルソナには、何を書けばいいですか?
名前や年齢、趣味よりも、どこで何を見て、何を基準に選んでいるかという行動と判断の理由を書きます。それがあると、広告や商品の判断に使えます。
